苦労して取った看護師の資格を活かして、看護師としての経験を積んでいる人は大勢いますが、中には看護師として働いてから他職種への転職を考え、実際に行動に移す人もいます。
私は看護師として働いているので、看護師自体を辞めてしまう事は少しもったいない気もしますが、辞めて良かったと感じている人は意外と多いようです。そこでここでは、看護師から他職種への転職はアリなのか、医療業界と一般企業の違いや実際の転職体験談などについてまとめていきます。
■看護師が他職種に転職したくなる理由
看護師として働いていると、辞めたくなる時は誰でもあると思いますが、実際に看護師を辞めてしまう人にはどんな理由があるのでしょうか。正直な話をすると、看護師として働いていると「この人は看護師に向いていないな…」と思う人がちらほらいるのは事実です。
本人は一生懸命に働いているので、他言も言及もしませんが、中には看護師に向いていないと自覚したり、様々な理由で辞めてしまう人がいます。そこで看護師自体を辞めてしまう理由で多いものをまとめてみたいと思います。
〇人間関係
看護師を辞めてしまう一番の理由として多いのは【人間関係のトラブル】です。どの職場でも人間関係はつきものですが、看護師はまだまだ女性が多い職場のため、女性特有の面倒な人間関係があるのも事実です。
上司と合わない、職場内で派閥がある、先輩・後輩との付き合いなど、人間関係で理由を挙げたらキリがないですよね。うまく付き合っていける場合は良いですが、人間関係によるストレスから精神的に追い詰められてしまうケースも少なくありません。
〇精神的、体力的負担
精神的負担に関しては上記で述べた人間関係によるものも考えられますが、看護師という職業上、患者さんの命を預かりますし、患者さん本人だけでなくそのご家族との付き合いも出てきます。それによって精神的に負担となる事もありますよね。
また、看護師という仕事は医療行為だけでなく、介護に関わる仕事もたくさんあります。移乗や介助もしなければならない事もありますし、不規則な勤務によっても体力的に負担となる事もあるでしょう。若い頃は負担に感じていなかった業務内容でも、年齢を重ねるにつれて体が悲鳴をあげてそれが負担に感じてしまう事もあります。
〇責任感、プレッシャー
看護師という仕事をしている以上、責任感を感じて働かなければならないとは思いますが、日々の業務だけでなく先輩や後輩からのプレッシャーもあるはずです。
〇他にやりたい仕事がある
看護師として働いても、看護師以上にやりたい仕事が見つかる人もいます。看護師としての自分とやりたい事をしている自分を比較して、やりたい仕事をしている自分の方が魅力的に感じ転職という選択をしている人もいるようです。
〇割に合わないと感じる
実際に看護師として大変な思いをして働いているにも関わらず、思いのほか給料が見合わない事ってありますよね。給料面は働く職場にも左右されるかと思いますが、仕事量の割に手取りが少ないとなると仕事に対するモチベーションにも関わってきます。
「苦労して働いてもこれだけしか貰えないなら、看護師をしている意味がない」と感じ転職という選択をする人もいるようです。
看護師を辞めてしまう理由は人それぞれなので、他にも理由はあると思いますが、看護師として働いている私も頷ける理由もあったのは考えさせられました。では、次に看護師の仕事と一般企業の違いはあるのかについてまとめていきます。
■看護師の仕事と一般企業の違い
看護師の仕事と一般企業の仕事を比較した場合、具体的にどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。1つずつ見ていきましょう。
・収入面
看護師は専門職+夜勤があるため、必然的に一般職よりも収入が良い傾向にあります。そのため、一般企業への転職は看護師として働いている時よりも収入が下がる可能性が高い事を知っておきましょう。具体的には月に2~5万円減、年収約100万円減という統計が出ています。
・視野
看護師は専門職というメリットがある反面、世間に対して視野が狭くなるというデメリットもあります。一般常識がわからないといった世間知らずな一面もあると言われています。
・責任
どんな仕事でも責任感はあると思いますが、命を預かるほどの責任はないと思うので、看護師よりも一般企業の方が精神的に楽と感じるかも知れません。
・働く環境
看護師を辞めると、女性特有のギスギスした空気を感じながら働く事はほぼ無くなるでしょう。看護師は気が強いと言われますが、多少気が強くないと務まらないのも事実です。看護師は気が強い人が集まっているのですから、ギスギスしやすいのかも知れませんね。
・労働時間
労働時間に関しては、働く職場や雇用条件に左右されるため、一概には言えません。看護師として働いている時よりも条件が悪いケースもあるので、見極めが肝心と言えます。
■看護師を辞めた後、どんな仕事をしている?
実際に看護師から他職種へ転職した人は、具体的にどんなお仕事をしているのでしょうか。職業はたくさんありますが、統計上看護師から転職する事が多い職業をランキング形式で紹介していきますね。
<看護師から転職する他職種ランキング>
1位:飲食店スタッフ
2位:一般事務
3位:営業
4位:介護士、ケアマネージャー
5位:教員、講師
6位:MR、MS(医療メーカー、製薬会社の営業)
7位:アパレル関係
8位:CRA、CRC(治験コーディネーターなど)
9位:医療事務、養護教諭
10位:その他サービス、接客
未経験の仕事でもやる気で乗り切る!って人は多いと思いますが、働く職場に左右されるのも事実です。どっちにしろ慣れてしまえば働くしかないんですが(笑)
では、私の身近にいる看護師から他職種への転職成功例と転職失敗例を参考までに紹介しますね。
<転職成功例>
私の看護学生時代の同級生の話です。看護師の資格を取得し、経験も兼ねて1年働きましたが、仕事で疲れた時に元々働きたかったエステに客として行ったそうです。あまりの施術の気持ちよさと「やっぱりこの仕事がしたい!」という思いから、看護師として働きながら技術を身に着け、今は看護師を辞めエステ一本で働いています。
自分の客を取らなければならないというノルマは大変みたいですが、やりたかった仕事という理由と基本は自由に働ける環境に満足していると話していました。私もたまに疲れを癒して貰いに通っています。
<転職失敗例>
看護師の資格を取得するまでは、死に物狂いで勉強してきたAさん。実際に働いてみると、勉強してきた事がほとんど役に立たない・復習するにも毎日残業で疲れ果て…と、理想と現実のギャップに驚き、一旦現場から離れアルバイト生活を送っていました。
ですが、アルバイトはいつまでもアルバイト…という現実から、自立したい気持ちが芽生え結局看護師に戻って仕事をしています。働く職場が変わった事で、今は仕事とプライベートを両立できているそうですが、看護師の仕事から離れられないと話していました。
■看護師を辞めて他職種で働くなら早めに決断を!
看護師が他職種に転職して成功するのは20代までと言われているのはご存知ですか?医療業界で働いていても年齢制限が出てくるように、30代以降は年々厳しい状況となるのは同じです。
新たに資格を取得してからの他職種への就職は時間がかかる上に経験不足が重なり、失敗リスクも高まる傾向にあります。他職種への転職をしたにも関わらず、結局は看護師に戻らざるを得ない結末になる事も少なくありません。
そのため、看護師自体を辞めたいと考えている場合は、同じ医療業界への転職よりも少し急いだ決断の方が良いと言えます。